マスクの有効性に関する論文

今年2023年1月30日コクランライブラリーに「手洗いやマスクの着用などの物理的な対策は、呼吸器系ウィルスの拡散を止めたり遅らせたりするのか?」とのレビューが掲載されました。実はこの内容は10年以上前から同じテーマでレビューされており、今回はCOVID-19の大流行による研究結果を含んだ内容で、前回2020年に発表されたコクランレビューのアップデート版です。

今回の主要なメッセージ(Key messages)は「マスクやN95/P2マスクの着用が呼吸器系ウィルスの感染拡大の抑制に役立つかは、評価した研究では不明である」「手指の衛生管理プログラムは、呼吸器系ウイルスの蔓延を遅らせるのに役立つ可能性がある」となっています。(下記原文参照)

Key messages
We are uncertain whether wearing masks or N95/P2 respirators helps to slow the spread of respiratory viruses based on the studies we assessed.

Hand hygiene programmes may help to slow the spread of respiratory viruses.

Published: 30 January 2023 Physical interventions to interrupt or reduce the spread of respiratory viruses

統計的な有効性を示せなかったので現時点では「マスクは役立つかは不明である」となりますが、役に立たないとも言っていないし役に立つとも言い切れない、正に「役立つかは不明である」との結論ですね。

一方、呼吸器系ウイルスが人々の間で広がるのを防ぐ物理的な対策に以下のようなものを挙げています。

  • 頻繁に手を洗う
  • 目、鼻、口を触らない
  • くしゃみ、咳を肘にする
  • 表面を消毒液で拭く
  • マスク、目の保護具、手袋、保護衣を着用する
  • 他の人々との接触を避ける(隔離)
  • 他人から一定の距離を置く(ディスタンス)
  • 入国者に感染の兆候がないか検査する(スクリーニング)

上記対策の中に「 目、鼻、口を触らない」とあるので、不用意触らないために マスクは有効かもしれませんね。 論文の解釈ってほんと難しい。あと勘違いしていただきたくないのが、マスクが全てにおいて役に立たないのではなくて現時点で「呼吸器系ウィルスの感染拡大の抑制」に役立つかは不明であるとの話なのでそこはキチンと抑えておきたいポイントですね。

まぁ、これだけみんなマスクしているのに新型コロナもインフルエンザも流行しているので、コクランに言われなくても「知ってた」って感じでしょうか?余計なお世話でしたらスミマセン。

▶コクランライブラリー日本語版(2023.Jan.30):手洗いやマスクの着用などの物理的な対策は、呼吸器系ウイルスの拡散を止めたり、遅らせたりするか?

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