小児:ADHD(注意欠如・多動性障害)の例

はりあん

ADHDの傾向があるお子さんは、外部の情報に対して人より敏感であることが多く、光・音・皮膚への刺激などに対し過剰に反応してしまいます。センサーが通常よりも高感度にチューニングされている状態なので繊細とも言えます。いずれにしてもセンサーからの情報が多いと、それだけ脳に伝わる情報も増え、脳が混乱しているとも考えられます。過剰気味になったセンサーを正常にしてあげる(ノイズを減らしてあげる)ことで気になる症状を緩和できる場合があります。発達障害の程度にもよりますが軽度のものであれば皮膚を優しく撫でるような小児鍼をひと月しただけでも落ち着きが出てくることがあります。改善してくると、もともとは集中力のある子が多いので、気が散らなくなり、物事に集中できるようになり、人の話も聞け、自信がつくことで、全体が良い方向に循環してきます。

属性小学生低学年 男の子
主訴突然の食欲不振と以前からのADHDの症状
状況

結果
◆状況
幼稚園のころから落ち着きがなく多動気味ではあった。小学校に上がっても落ち着きがない感じ。最近になって今まで食べられていた白いご飯やおかずが食べられなくなった。給食も残すようになった。まずは急に食べられなくなったメニューや落ちた食欲を改善したい。

◆1回目
小児鍼でやさしくお腹や背中腕を刺激。はじめての施術ではどこを触ってもくすぐったがり、ビクビクしてしまう。自宅でも時間のあるときに、背中や腕を布は使わずに乾布摩擦のように手で優しく撫でるようにお願いした。

◆2回目(1週間後)
前回の施術より背中は触ってもビクビクしなくなった。お腹は触っただけでもくすぐったがる。家でも手で背中や腕を優しく撫でる行為を継続してもらう。

◆3回目(前回から1週間後)
前回の施術のあとご飯が食べられるようになってきた。子供本人が鍼が楽しみなようで、鍼をすることで食べられるようになるとの思い込みもあると考えられる。腹部は触られるのが苦手。

◆4回目(前回から1週間日後)
前回より更に食欲が出た。以前と同じように食べられるようなってきた。腹部は触られるのが苦手。

◆5回目(前回から10日後)
食欲は以前ようになったので一旦食欲に関しては施術終了。多動に関しては、親からみても以前より落ち着きがでてきた。散髪のときに痒がらなくなった。今後も月2回から3回を目安に鍼を続けて、多動の改善に関してしばらくようすを見る予定。
はりあん

補足:
大人と違って、見るもの、触れるものが新しく、全てが新鮮な子供にとって外部からの刺激は興味感動の連続です。つまり、本来、子供はじっとしていられない生き物です。また発達障害の中には単に人よりも社会性(広汎性)の発達ゆっくりなだけで最終的な能力に差がない場合や、むしろ能力が高い場合もあります。(「能力(知能)とは何か?」との話は置いておいて)そもそも皆が同じ時期に同じことをできる必要がまるでないのですが、学校などでは管理上(管理側の都合で)そのようなことを求められる傾向にあります。ここで問題なのが、周りと同じことができないと(家族を含めた)周囲が負のレッテルを貼り、本人もそれを受けて自信をなくしてしまうことです。それは絶対に避けたいことなので小さいうちから親が子供の状態を理解してうまくフォローしてあげることが大切だと感じます。

発達障害の分類は細かく存在し、症状や程度も個人個人バラバラです。正しく分類することは大切ですが、あくまでも手段のひとつであり、ゴールでもなければ目的でもありません。鍼灸施術で全てが改善するわけではありませんが、とにかく、小さいうちからうまくフォローしてあげると、その後の成長の具合も変わってくるので、できるだけ早めに対処してあげたほうが良いと考えています😊

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