
暑くなってくると、仕事終わりや晩酌で「冷たいビールが最高!」という方も多いと思います。アルコールを飲む機会が増えてくる時期ですので、今回は「アルコールで失われる栄養」について、簡単にまとめてみました。
アルコールは体の水分を奪う…
どうせ飲むなら喉が一番渇いた状態で飲みたいビールですが、ご存じの通り、アルコールには強い利尿作用があるため、体は飲んだ以上の水分を尿として排出しようとします。その結果、飲んだ直後から脱水状態に近づいていきます。また、アルコールの分解にも水分が使われます。
つまり体は、
- 飲んでトイレが近くなり(=排出)
- 分解のためにも水分を必要とし(=消費)
- 結果として体内の水分がかなり失われている
という状況になります。
そのため、飲んだ後に「のどが渇く」「翌朝の口の中がカラカラ」というのは、実は自然な反応ということになります。
体は摂取後30分以内に水分過剰を感知し、1〜2時間程度で排出の調節を始めるため、飲みすぎた水分の影響は比較的短時間で修正されるようです。さらにアルコールが含まれていると利尿が過剰になるため、通常の水分と比べて脱水リスクが高くなります。
中高年にとって“脱水”は思った以上にリスクになる
若い人なら多少の脱水でもすぐに回復できますが、50代以降では状況が変わってきます。
- 加齢とともに喉の渇きを感じにくくなる
- 血液が濃くなり、血栓ができやすくなる
- 脱水状態での飲酒は血圧の変動や脳への負担が大きくなる
特に気をつけたいのが「ラクナ梗塞」のような、無症候性の小さな脳梗塞。軽い脱水でも脳血流が一時的に低下し、症状が出なくても脳細胞がダメージを受けているケースがあるようです。。
脳の深部にある細い血管が詰まって起こる小さな脳梗塞のこと。症状が軽いか無症状のこともありますが、繰り返すと認知症や運動機能の低下につながる場合があります。高血圧や脱水、加齢が主なリスク要因とされています。
お酒を飲むと、体の中で何が起きている?
たとえば、ビール500ml(アルコール5%)には25mlのエタノール、重さにして約20gのエタノールが含まれています。このアルコールを肝臓で分解するために、体は以下のような材料が使われます。
- ビタミンB群(B1・B6など):神経やエネルギー代謝に関与
- ビタミンC:抗酸化作用やアルデヒドの無毒化をサポート
- アミノ酸(特にグルタチオンの材料):解毒や修復に関与
- 大量の水分:分解の各段階で必要とされる
- マグネシウムや亜鉛:アルコール脱水素酵素の補因子とされる
また、分解途中でできる「アセトアルデヒド」は毒性があり、頭痛・だるさ・筋肉の違和感などの不快症状の原因になると言われています。
体内の解毒や抗酸化、免疫に関与する重要なアミノ酸由来の物質。アルコールや薬物、ストレスによるダメージから細胞を守る働きがあり、肝臓での代謝にも大きく関わっています。
これらの栄養が不足するとどうなる?
アルコールが直接“悪者”なのではなく、それを分解する過程で使われる栄養が不足することこそが問題です。とくに栄養不足が慢性化してくると、以下のような変化が出てくることがあります。
👨 男性の場合(40〜60代)
- 抜け毛や薄毛が進む(亜鉛・ビタミンB群の不足)
- 精力減退・ED傾向(血流・ホルモンバランスの影響)
- 筋力や運動能力の低下(代謝・ミネラル不足)
- 体臭・口臭が強くなる(肝機能・抗酸化力の低下)
👩 女性の場合(40〜60代)
- 肌の乾燥・くすみ・シミ(ビタミンC・グルタチオン不足)
- イライラ・疲労感・睡眠の質低下(ビタミンB群・マグネシウム不足)
- むくみ・便秘・冷え(水分・代謝の低下)
- 骨密度低下(骨粗しょう症リスク)(マグネシウム・亜鉛不足)
お酒を飲む習慣がある人には、これらの栄養が不足する傾向があります。若いときは疲労感?で終わりますが、年齢を重ねてくると病気の原因につながります。
疲れの原因は睡眠中の隠れた活動も
あと見逃されがちなのが睡眠。アルコールは眠気を誘う一方、深い眠り(ノンレム睡眠)を妨げるとも言われています。スマートウォッチなどで心拍を計測している方なら、深酒の夜に心拍が15〜20上昇していることも。つまり一晩中、体が「軽い運動状態」にある可能性があるわけです。これでは次の日に疲れがとれないのも納得です。
最後に:お酒は“楽しみ”の一つ。だからこそ上手に付き合いたい
お酒が悪いわけではありません。大事なのは、飲んだ分だけ、体が頑張ってくれているという事実を知って、そのあと適切に対処することです!
- アルコールのあとにはしっかり水分補給+ビタミン・ミネラル補給
- 睡眠不足を避けてきちんと休息
- 連日の飲酒は控えめにし、肝臓にも休暇を
夏のお酒、楽しく・美味しく、
そして――「賢く」付き合っていきたいですね。
…まぁ、分かっていても、それが一番難しいんですけどね(笑)
肝臓って“休みなし”の働き者!
肝臓は、365日・24時間働き続ける臓器。糖や脂質の代謝、有害物質の解毒、ホルモンの調整…その役割は500以上とも言われています。アルコールは「最優先で分解すべき異物」として扱われるため、入ってくると他の仕事を後回しにしてでも分解を進めようとするのだとか。つまり、お酒を飲んでいる間、肝臓は「残業モード」になっているわけです。だからこそ、飲まない日やケアの時間も必要になります。