妊娠しやすい季節はあるか?

これはよく施術中に受ける質問のひとつです。結論は「現在妊娠しやすい季節はないようだ」になります。お急ぎの方は途中を読み飛ばして本題にどうぞ。お時間のある方は本題の前に少し”妊活の情報”に関する話にお付き合いください。

これだけ医学が進歩していても妊活において確実に妊娠できる「絶対的治療」は存在しません。現在、病院で行わている不妊治療は原則、妊娠・出産の確率を上げる治療です。タイミング法や人工授精、体外受精もすべて確率を上げるための手段となります。つまり妊活を良い結果に導くためには、現時点で医学的根拠に基づき妊娠・出産の確率を上げるとされる”妊活の情報”から実践可能なものを選択することが近道であり王道となります。

例えば、サプリメントや健康食品の使用で妊活がうまくいく場合も十分ありますが、それは全体から見るとむしろ例外的な場合も多く、なぜならそんなに多くの方に有効であれば病院保険適用のもと処方されてもおかしくないからです。しかしそのようなサプリメントごく一部でや健康食品はなどはほとんど存在しません。むしろ不妊治療に関わる多くの先生方が日々論文を読み漁りそのようなものがないか探している状態です。

いずれにしても私も含め専門家でない限りインターネットなどで得た”妊活の情報”が本当に正しいか?実践に値する情報なのか?判断することは容易ではありません。そのような時に頼りになるのが学会での論文発表や真の専門家である婦人科ドクターによる情報発信です。

ご存知の方も多いと思いますが、リブロプロダクションクリニックの松林秀彦先生がされている「松林 秀彦(生殖医療専門医)のブログ」は、私の知る限り継続年数や更新頻度、内容の濃さで群を抜いており非常に参考になります。 (松林先生のブログ閲覧にはアメブロの会員登録が必要)ということで”妊活の情報”は信用できるソースからとの話でした。

かなり前置きが長くなりましたが、今紹介したブログの中で随分前にこのテーマも取り扱われています。まず下記のブログ読んでみてください。 

(中略)過去50年の日本の月別出生数の統計を調べてみました。すると、7月、8月、1月にお産が多く、2月と11月がお産の少ない月でした (中略)ただし、一番お産の多い月と一番少ない月の差は1日あたりに換算して約2%ですので、それほど大きな差は実際のところありません。(中略)何故1月にお産が多いのかを説明できそうな根拠は私の知る限りありません。ですから、何月が妊娠しやすいかということについては、あまり神経質に考えなくてよいと思います。(略)

何月が妊娠しやすい? アベブロ:松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログより(2012-12-01 00:00:02)

ブログの中で先生は「何月が妊娠しやすいかということについては、あまり神経質に考えなくてよい思います(略)』と述べています。

わたしもこれに関して以前調べたことがありましたが特にいつ頃妊娠しやすいとの資料はありませんでした。しかし今回改めて調べてみたら厚労省の資料で戦前からの統計を見つけました。(最近の政府による統計の信頼は揺らいでいるように思えますが…)月別にみた出生率(人口千対)-明治32~平成12年-

厚生労働省サイト:月別にみた出生率(人口千対) -明治32~平成12年-
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo-4/syussyo1-2.html

これを見ると昭和45年以降ではいつが妊娠しやすいという傾向はありませんが、戦前は出生月による差が大きく、出生は1~3月に高く、6月に低い傾向があり、戦後から昭和39年までもこの傾向にありました。

出生が1~3月ということは最終月経は4月~6月頃で数字の上ではこの頃が妊娠しやすかったことになりなります。6月の出生は最終月経が9月頃でしょうか。つまり昭和39年以前は秋頃は妊娠しにくい時期だったようです。理由は不明です。個人的な考えでは、当時は田植えや稲刈りなど人為的なイベントが子作り=出生に関係しているのではと思っています。

以上からブログや資料を見た限りでは、平成以降の傾向では妊娠しやすい季節はないようです。皆さんはどう考えますか?

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