きちんと知ろう!”妊娠率”と”累積妊娠率”の違い(その2)

前回、”妊娠率”より”累積妊娠率”の方が大事だとお話しをしました。今回は、その“累積妊娠率”について少し詳しく説明します。”妊娠率”については前回のコラムをお読み頂きたいのですが、簡単に言うと、“妊娠率”とは『妊娠を希望して頻回な性交渉を持った場合、最初の周期(月経周期)で妊娠する確率で、ポイントは”最初の周期で…”と言うことです。2周期、3周期と積み上げた場合は”累積妊娠率”となり、実際、その数字が大事になります。

今回の確認ポイント
  • ”累積妊娠率”とは
  • 健康なカップルの”累積妊娠率”はどれくらいか
  • ”累積妊娠率”を知って今後の行動を考える

ここでは目安として、先の学会で使われた資料で『健康な200カップルの”累積妊娠率”』のグラフを紹介します。

上のグラフで1周期目が30%となっています。人数にすると健康なカップル200人が対象なので、1週期目で60人妊娠することになります。横軸の5周期目を見ると確率は70%を超えます。つまり約半年で200人中、140人以上が妊娠することになります。12周期では約80%、160人が妊娠しすることを示しています。これが妊娠の目安。つまり健康な男女の”累積妊娠率”です!!念のため、順を追って見てみましょう。

上のグラフ[1]の1周期目を見ると妊娠率は30%です。これは前回話した通り、1ヶ月目での”妊娠率”は約30%だがらです。つまり計算すると200人中約60人が妊娠したことになります。そして2周期目には140人が残ることになります。

次に同じグラフですが上のグラフ[2]を見ると2ヶ月目でグラフは50%に達しています。これは200人中60人はひと月目に妊娠しているので、2ヶ月目に残った140人中40人が妊娠して、既に200人中100人が妊娠したことを示しています。よって”累積妊娠率”50%となります。残りは100人です。

更にまた同じグラフですがグラフ[3]を見ると3ヶ月目でグラフは57%くらいになっています。つまりこれは3ヶ月目に残った100人中14人が妊娠して全体で114人が妊娠したので、3ヶ月目の”累積妊娠率”が約57%となったことを示していて、同様に6周期までに73%。200人中146人が妊娠したことを示しています。

よって、この事から
健康なカップルの妊娠の目安は、半年で約70%、1年で80%くらい
と記憶しておけば問題ないかもしれません。

まだ、おわりではありません。これを知ったらもう一つ大切なことがあります。先程と同じグラフですが、下のグラフ[4]を見て下さい。

はじめの半年で70%まで上昇しても、その後の半年では10%しか伸びず80%とのままとなります。いわゆる、頭打ちの状態です。解釈の仕方はいろいろですが、不妊とはこの半年以降の頭打ちの状態とも考えられます。そして最近は、このグラフのような数字を根拠に「半年を過ぎたら不妊を疑って検査や治療を開始するべき」とうい考えがでてきています。

当院でも、妊活を半年から1年がんばっても、陽性が出ていない方には、はりもオススメしていますが、その前に婦人科の検査を受けることをススメています。

今回はひとまず以上です。ぜひ妊活に役立ててください

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