きちんと知ろう!”妊娠率”と”累積妊娠率”の違い(その1)

最近、東京や大坂の鍼灸院で妊娠率が60%を超えるような数字を紹介しているサイトを見かけました。(たまに100%と言っているサイトもありますが😅…)先に”妊娠率”について言ってしまうと

『”妊娠率”とは最初1回目で妊娠する確率』なので自然に考えて30%くらいです!

今回の確認ポイント
  • “妊娠率”は最初の1回目の確率、“累積妊娠率”は積み重ねた確率
  • 通常、健康な若いカップルの“妊娠率”は約30%!
  • “妊娠率”より”累積妊娠率”が大切!

高い数字を示しているサイトの多くは根拠となる計算式を明示していないケースがほとんどで何とも言えませんが、60%はとてつもなく高い数字だと感じます。ひょっとしたら“妊娠率”“累積妊娠率”を勘違いしているのかもしれません。”妊娠率”と”累積妊娠率”では、全く異なります。正確な知識があれば、患者さんが数字に振り回されることはないと思いますので、“妊娠率”と”累積妊娠率”の違いその目安となる数字について説明します。

今回は、私が所属してしているNPO日本不妊カウンセリング学会から、2017年秋の学会で共通認識されている数字を基に紹介していきたいと思います。現在も数値については大きくかわりません。なお、妊娠の定義は病院によって妊娠の判定方法が微妙に異なる場合がありますが、今回はひとまず「子宮内に胎嚢を確認できた状態」として話をすすめます。

では早速、“妊娠率”とは…

『妊娠を希望して頻回な(2日に1回)性交渉を持った場合、最初の周期(月経周期)で妊娠する確率』です。そして健康な若いカップルを一般的とした場合、”一般的な妊娠率”は以下の通り約30%と考えられています。

健康な若い男女の妊娠率

健康な若い男女が排卵時にしっかりタイミングをとると100人中、1週期目で約30人妊娠するとのデータがあります。よって健康な若い男女の妊娠率は30%となります。

1週期目で妊娠する確率が”妊娠率”です。2週期、3周期目で妊娠した数字も含めるのは“累積妊娠率”といいます。

宝くじだって何度も引けば確率は上がりますよね。

つまり、妊娠率60%の施設とは、妊活の患者さんが100人来て、最初の1ヶ月目で妊娠する患者さんが60人いることになります。ちょっと違和感ありますよね。100%に関してはコメントする必要ありませんね。

では、2周期目、3周期目に妊娠した場合は、どのように考えたら良いでしょうか?

それが、次回に説明予定の”累積妊娠率”です。

累積妊娠率”については次回に詳しく説明しますが、健康な若い男女だと”2ヶ月目(2周期目)までの累積妊娠率”だと50%くらいで、”半年(6周期)までの”累積妊娠率”は70%を超えることを示すデータあります。

つまり、健康な若い男女が排卵の時にしっかりタイミングをとれば、半年の間で100人中約70人が妊娠すると言うことです。

“累積妊娠率”は、積み重ねれば数字が上がり有利になるのですが、実際には半年で約70%まで上がる妊娠率は、1年間累積してもその後は10%しか伸びず、合計で80%にしかなりません。(1年間で100人中80人が妊娠)

先程も書いた通り、“累積妊娠率”については次回に詳しく説明しますが、本当に大切なのは”累積妊娠率”の方です。

今回はひとまず以上です。ぜひ妊活に役立ててください!! 質問・疑問があればメールでどうそ。

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