温めすぎには注意!?お腹や腰の温める方法は?過ぎたるは及ばざるが如し?

妊活の話題になります。最近、妊活をしている患者さんと話していると、男性の睾丸の温めすぎは精子にネガティブな影響を与えることを知っている方は多いようで、この話が出ると旦那さんに下着をブリーフから通気性のよいトランクスに変えてもらったり、サウナや長風呂を避けてもらっているような話を聞くことができます。

一方、女性側の対応は、血流を改善してとにかくお腹を極力温めるような方がほとんどです。

ところで、精子は熱に弱いことが知られていますが、卵子は熱には弱くないのでしょうか?

精子は熱に弱いため精子を貯めておく睾丸は、体から離れた風通しのよい位置にぶら下がり、袋のシワが放熱効果を高めるなど、構造上、熱がこもらないような工夫がされています。

そのように考えれば、卵子のある卵巣はお腹の中にあるわけですから熱に弱いとは考えにくいのですが…。どうやらそれは素人的な発想であり、その点についても前回紹介した リブロプロダクションクリニックの松林先生がブログの中で何度か論文を引用して考察されています。

先生の考察では2013年8月4日のブログの中で

(以下引用)

調べる限り全ての論文が高温はよくないという論調で、それを否定する論文が全くない(中略)男性の精子が高温に弱いことは周知の事実ですが、女性の卵子も高温に弱いようです。

参考:松林 秀彦(生殖医療専門医)のブログ]
 ・女性にも高温の環境はよくない? /  ・よもぎ蒸しと妊娠治療 

詳しくは先生のブログを参考にしてください。先生は同様の理由で「よもぎ蒸し」にも肯定的ではないようです。

では、どうすればよいのでしょうか? ここからは当院の考えです。

問題とされているのは必要以上に温めることであって、免疫の観点からも冷えていて良いわけはありません。なので今まで通り血流を良くすることで代謝を促し、冷えを防ぐことは全く問題ないと思います。

冬場などの冷えやすい状況では、昔よりも露出の多い現代の服装は腹巻きなどが非常に有効だと思います。使い捨てカイロも使い方にもよりますが温め過ぎにはならないと思います。また、夏場もエアコンの影響で冷えすぎる傾向があるので、同様に腹巻きは有効だと思います。お腹を冷やさないことは腸内環境の免疫を下げないためにも大切だと考えます。

お灸に関しても、当院でおこなっている透熱灸と言われるゴマ粒程度のお灸は、その熱によって体を温めるものではなく、お灸を行うことで血流や免疫、代謝を高めて、結果として体を温かくするものなので問題ないと考えています。

逆に個人的には、機械などで腹部や仙骨部の深部を人為的に温めるのは過剰の範囲になるような気がします。ただ今の所、過剰は懸念されるものの必ずしも問題とはなっていませんので、必要と感じる方は自己判断で続けても良いのではないでしょうか…。

いずれにしても、妊活の最先端を走っているドクターが温めすぎは注意が必要と考えている以上、そのような療法を受ける前に、医学的な根拠とまではいかずとも、必要以上に温めても問題がないと考える根拠を確認したほうが安心かもしれませんね。実は私も知りたいです。そんなに温めて大丈夫なのか…。

今回は以上です。結論は「過ぎたるは及ばざるが如し」です。皆さんはどう考えますか?

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