逆子に鍼灸はいかがですか？論文もアリ

先日、逆子(骨盤位)が直らないとのことで妊婦さんが来院されました。一般的に逆子の場合、帝王切開での出産になりますが、出産(手術)予定が37週から38週で組まれることが多く、本来の予定日より2～3週間早まります。そのため自然分娩を希望していた患者さんや帝王切開を避けたいケース以外に、3月は予定日が4月だった妊婦さんが早生まれを避けるために慌てて来院されるケースもあります。

統計的には逆子自体、臨月までに自然に治ることがほとんどで、詳しくは下の引用などを参考にしていただきたいのですが、概ね30週で80～90％、36週までに95%が頭位すなわち頭が下の位置に戻ります。産科の先生方はその事実をよくご存知ですので32週くらいを過ぎた辺りから逆子の妊婦さんに対し「逆子なので逆子体操してみますか？」との案内する場合が多いように思われます。最終的に95％が頭位になって、わずか5％が逆子ならドクターが「そのうち戻りますよ」というのもある意味納得です。実際、その事実を考慮すればまだくるくる回っている30週前の時点で頭が上の状態は、逆子ではなく「まだ頭が下に来ていない状態」との解釈が妥当になります。

（略）吉村先生：ただ27、28週頃にからだが１kgを超えるほど大きくなってくると、出産に向けて頭位に固定される赤ちゃんが多くなります。30週で頭位になっているのはおよそ85％ですが、34週ごろになると90％以上になり、予定日間近の36週になると約95％という具合にほとんどの赤ちゃんが分娩前までに頭位になってくるんです。（以下省略）

妊娠36週で95％は治るって本当？意外と知らない「逆子（さかご）」の話：妊娠・出産・子育てマガジン

赤ちゃんは30週ぐらいまでは、おかあさんのおなかのなかで動く余裕があるため、くるくる回り、骨盤位（さかご）となることがあります。しかし、多くは赤ちゃんの発育に伴って、自然に頭が下（頭位）になるものです。ですので、おかあさんはあまりその向きについて神経質になる必要はありません。（以下省略）

さかごはいつまで大丈夫ですか？：日本産婦人科学会

とは言え、自然分娩をしたかった患者さんや帝王切開を避けたい患者さんにとっては逆子はなんとかしたいものです。

そこで私はお灸をおすすめします(・∀・)！95％が自然に逆子が戻るのに、なぜ施術やお灸が必要か？って？！

お灸をするかどうかはひとまず置いておいて、もう一度数字を考えてみましょう。最終的に逆子になるのは全体のわずか5％。裏を返せば必ず5％が逆子になってしまいます。そしてこの確率は妊娠が成立した時点での確率です。一度頭位になったら逆子には戻らないと仮定すると（実際はそうでもないのですが…）、仮に妊婦さんが100人いたら30週の時点で85人の頭位が確定してしまいますので、残った15人が逆子の妊婦さんとなり、そのうち5人が最終的に逆子になってしまいます。30週の時点で逆子の妊婦さんは3人に1人が逆子のままになる計算です。また34週の時点で逆子だということは1/2の確率でそのまま逆子になることになります。

当院では30週くらいまでに来院いただければ80％-90％以上の確率で回って頭位に戻ります（20週台だとほぼ頭位にもどります）。36週から37週で回ったケースは15％に届かない感じです。36週からはほぼ回らないことを考えればまずまずかなと思っています。（満足しているわけではありませんが…）

ということで、以上が当院が逆子の妊婦さんに逆子のお灸を勧める理由です。最後に逆子に関する最近の論文を下に紹介しておきました（2つとも有効であるとの結論です）。お灸は、古くから安産灸として妊婦さんにも親しまれてきた経緯もありますのでリスクは非常に低いと考えています。実際いままでに多くの妊婦さんにはり・お灸を施術しておりますがトラブルはありません。

参考：当院Instagram（逆子が回った報告😊）