”老化も病気”という考え方

鍼灸といえば「肩こり」「腰痛」「膝の痛み」などを思い浮かべるかと思いますが、実際には鍼灸院は病院と異なり一般に専門分野がありません。従って肩こりや腰の痛みのような整形外科疾患から月経不順や妊活関連の婦人科領域、身体がだるくて会社にいけないような自律神経系心療内科的な内容まで対応することになります。(もちろんどの疾患に関しても病院の診断および治療が一番重要で当院の施術はその補助もしくは後方支援としての役割となります)

そのような臨床の場にいると患者さんからの質問も多岐にわたり「専門ではないので…」など言っていると仕事にならなくなってしまいます。かといって適当に答えることも許されませんので、どのジャンルも浅くではありますが、できるだけ広い範囲で最新の情報を案内するように準備しているつもりでいます。

前置きがかなり長くなりましたが(というよりは皆さんに鍼灸のことを少しでも知ってほしいのであえて長めにしていますが)今回紹介する本のテーマ「老化」。患者さんとの会話でよく話題に上がります。老化は年配者だけの問題ではありません。妊活においては卵子の老化は深刻な問題なので若い患者さんにとっても重要なテーマですし、私のようなおじさん世代でもスポーツをしてる人にとっては怪我の回復や筋肉生成など代謝を含めた老化現象を無視することは賢明ではありません。

このようにどの世代にも関係する老化ですが、一昔前まで老化は加齢に伴う不可避な現象とされてきました。しかし少し前から加齢老化は明確に区別されるようになり、最近の医学のトレンドでは、老化も一つの疾患(=病気)であるとの考え方がでてきました。病気であれば治すことも可能なので老化は治せるという考え方です。ちなみに加齢は時間の流れですので誰にでも平等で遅らせることはできません。(老化と加齢の違いについてはコチラのブログを参考にしてください)

この本では細胞の老化のメカニズムに迫りつつ、老化を遅らせる生活習慣や物質などを紹介し「老いなき世界」が訪れたときの課題を挙げ、それに対する解決方法も探っています。興味深い内容ですが「老いなき世界」が訪れるかどうかはひとまず置いておいて「老化も病気のひとつ」という考え方は知っておいて損はないかもしれません。老化を防ぐことは結果として病気を防ぐことにつながりますので、それは健康寿命を伸ばすことに寄与します。死が不可避である以上、健康寿命が伸びて「ピンピンコロリ」で死を迎えられることは悪くない話かもしれません。

David Sinclair(2020)LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界 東洋経済新報社[Amazonにリンク]